建築基準法‐単体規定・建築協定
- 建士先生
-
宅建試験では、肢の一つとして出題されるくらいです。覚えていれば得点に結びつきますがそんなに重要なところではありません。この単体規定と建築協定でも、今まで同様にキーワードだけ押さえておきましょう。
もくじ
単体規定
敷地の衛生及び安全
建築物の敷地は、これに接する道の境より高くなければならず、建築物の地盤面は、これに接する周囲の土地より高くなければなりません。ただし、敷地内の排水に支障がない場合又は建築物の用途により防湿の必要がない場合は例外です。
建築物の敷地には、雨水及び汚水を排出し、又は処理するための適当な下水管等を施設をしなければなりません。
がけ崩れ等の場合にそなえ、擁壁の設置などの措置を講じなければなりません。
構造耐力
建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造にしなければなりません。
一定の大きさの建築物に関しては、政令で定める基準に従った構造計算で、国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによって確かめられる安全性を有しなければなりません。
大規模の建築物の主要構造部
高さが13m又は軒の高さが9mを超える建築物でその主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものは、耐火建築物の基準に適合するものとしなければなりません。
延べ面積が3,000㎡を超える建築物(その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)の政令で定める部分の全部又は一部に木材、プラスチックその他の可燃材料を用いたものは、耐火建築物の基準に適合するものとしなければなりません。
防火壁
延べ面積が1,000㎡を超える建築物は、防火上有効な構造の防火壁によつて有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ1,000㎡以内としなければなりません。
以下に挙げる建築物は例外です。
- 耐火建築物又は準耐火建築物
- 卸売市場の上家、機械製作工場その他これらと同等以上に火災の発生のおそれが少ない用途に供する建築物で、主要構造部が不燃材料で造られたものその他これに類する構造のもの、または、構造方法、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準に適合するもの
- 畜舎その他の政令で定める用途に供する建築物で、その周辺地域が農業上の利用に供され、又はこれと同様の状況にあつて、その構造及び用途並びに周囲の状況に関し避難上及び延焼防止上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合するもの
居室の採光及び換気
居室の採光
住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室(居住のための居室、学校の教室、病院の病室その他これらに類するものとして政令で定めるものに限る。)には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、住宅にあっては1/7以上、その他の建築物にあっては1/5から1/10までの間において政令で定める割合以上としなければなりません。
居室の換気
居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、1/20以上としなければならない
石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置
建築物は、石綿その他の物質の建築材料からの飛散又は発散による衛生上の支障がないよう、次に掲げる基準に適合するものとしなければなりません。
- 建築材料に石綿その他の著しく衛生上有害なものとして政令で定める物質を添加しないこと。
- 石綿等をあらかじめ添加した建築材料を使用しないこと。
- 居室を有する建築物にあつては、前二号に定めるもののほか、石綿等以外の物質でその居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質(クロルピリホス及びホルムアルデヒド)の区分に応じ、建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合すること
地階における住宅等の居室
住宅の居室、学校の教室、病院の病室又は寄宿舎の寝室で地階に設けるものは、壁及び床の防湿の措置について衛生上必要な政令で定める技術的基準に適合するものとしなければななりません。
長屋又は共同住宅の各戸の界壁
長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとするほか、その構造を遮音性能に関して政令で定める技術的基準に適合するものとしなければなりません。
避雷設備
高さ20mを超える建築物には、有効に避雷設備を設けなければなりません。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合においては例外です。
昇降機
高さ31mを超える築物には、非常用の昇降機を設けなければなりません。また、火災時に炎や煙の通り道にならないような構造にしなければなりません。
建築協定
建築協定とは、住宅地として環境や商店街としての利便を高度に維持増進する等建築物の利用を増進し、かつ、土地の環境を改善するために必要と認める場合において、その区域内における建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠又は建築設備に関する基準について、その区域の所有者や借地権を有する者が定めたものです。
市町村は、その区域の一部について、一定の区域を定め、その区域内における建築協定を締結することができる旨を、条例(建築協定条)で、定めることがでます。
建築協定を締結するには、建築協定条例により定められた区域内において土地の所有者と借地権者の全員の合意により建築協定書を作成し、特定行政庁に提出し、認可を受けなければなりません。
建築協定の効力
認可の公告のあった建築協定は、その公告のあった日以後において建築協定区域内の土地の所有者等となった者に対しても、その効力があります。
建築協定の変更
建築協定区域内における土地の所有者等は、建築協定区域、建築物に関する基準、有効期間、協定違反があった場合の措置又は建築協定区域隣接地を変更しようとする場合においては、土地の所有者と借地権者の全員の合意により、特定行政庁の認可を受けなければなりません。
建築協定の廃止
建築協定区域内の土地の所有者等は建築協定を廃止しようとする場合においては、その過半数の合意をもってその旨を定め、特定行政庁の認可を受けなければなりません。特定行政庁は、認可をした場合、遅滞なく、その旨を公告しなければなりません。
建築協定 | |
---|---|
成立 |
建築協定条例により定められた区域内において土地の所有者と借地権者の全員の合意 |
内容 | 域内における建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠又は建築設備に関する基準 |
効力・範囲 | 公告のあった日以後において建築協定区域内の土地の所有者等となった者に対しても、その効力がある |
変更 |
土地の所有者と借地権者の全員の合意 |
廃止 |
土地の所有者と借地権者の過半数の合意 |
建築協定の設定の特則 一人協定
建築協定条例で定める区域内における土地で、一の所有者以外に土地の所有者等が存しないものの所有者は、当該土地の区域を建築協定区域とする建築協定を定めることができます。
この認可を受けた建築協定は、認可の日から起算して3年以内に2以上の土地の所有者等が存することとなった時には通常の建築協定と同一の効力を有する建築協定となります。