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宅建資格ゲッター 独学テキスト 権利関係 民法‐危険負担・担保責任

民法‐危険負担・担保責任

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建士先生

危険負担とは、家を買った契約をした後、引渡し前にその家が火災などで消滅してしまった場合、買主は代金を払わなければいけないのでしょうか?

また、目的物である家に雨漏りなどがあった場合に売主は代金をもらう以上は責任を負わなければなりません。

 

危険負担

たとえば、売買の目的物である家が契約を締結した後、引渡し前に火災により消滅してしまった場合、民法では、買主は代金を支払わなくてはなりません。この場合、売主に故意、過失がない場合に限ります。

 

(債権者の危険負担)
第534条  特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。
2  不特定物に関する契約については、第四百一条第二項の規定によりその物が確定した時から、前項の規定を適用する。

 

 

Aが売買契約締結後、引渡し前に、建物をAの責めに帰することができない事由で滅失してしました。この場合、Bは建物代金を支払わなければなりません。

また、Aの不注意により火災を起こしてしまったなど、Aに責任がある場合は、Aの債務不履行となります。この場合は、Bは契約の解除や損害賠償請求をすることができます。

それでは、次の場合はどうでしょう。

 

9月1日にA所有の甲建物につきAB間で売買契約が成立し、当該売買契約において同年9月30日をもってBの代金支払と引換えにAは甲建物をBに引き渡す旨合意されていた。

甲建物が同年8月31日時点でAB両者の責に帰すことができない火災により滅失していた場合、甲建物の売買契約は有効に成立するが、Aの甲建物引渡し債務も、Bの代金支払債務も共に消滅する。

 

9月1日に売買契約が成立していますが、建物はその前日には火災により滅失しています。

この場合は、契約締結前に建物が滅失しているので契約するのは不可能です。そのため、この契約は無効となります。

 

売主の担保責任

売主の担保責任とは、売買の目的物になんらかの問題がある場合の売主の責任のことです。

たとえば、雨漏りやシロアリなどの瑕疵物件や他人の物を売買する場合、抵当権の実行により土地の所有権を失った場合などです。

こういった時に売主の責任を追求できるかが出題されます。

 

全部他人物売買

売買の目的物が全部他人の物であった場合です。全部他人の物ってそもそも売買できるの?

民法ではできるんです。売主は所有者から目的物を取得して買主に所有権を移転さえすればよいのです。

たとえば、A所有の建物をBがAに手付金を払っている状態で、BがCにその建物を売買しようとしたときなどです。

ただし、Aが手付金を倍額を返還すればBは建物を取得することができません。この場合、Bは売主としての責任を負うべきです。売主の責任として、善意の買主は契約の解除と損害賠償の請求ができます。

ただし、悪意の場合には解除のみすることができます。また、担保責任に基づく損害賠償請求はすることができませんが、債務不履行による損害賠償請求はすることができます。違いに注意しましょう。

 

一部他人物売買

売買の目的物の一部が他人の物であった場合は、善意の買主の場合、契約の解除、損害賠償請求、代金の減額請求をすることができます。この権利行使は一部が他人物であることを知った時から1年以内に行わなければなりません。

悪意の買主の場合は、代金減額請求をすることができます。

ただし、この権利行使は契約締結時から1年以内に行わなければなりません。

 

数量不足

たとえば、1㎡あたり○○万円で100㎡の土地の売買契約といったような売買契約の場合で、実際に測量しなおすと90㎡しかなかった場合などです。

この場合、善意の買主は契約の解除、損害賠償請求、代金減額請求をすることができます。この権利行使はその事実を知った時から1年以内に行わなければなりません。

悪意の買主は売主に責任の追及をすることができません。

なぜなら、土地の面積が90㎡と知っていて売買契約を締結したのですから、数量が少ないからといって代金を返せとか契約を解除するなど言えませんよね。

 

用益権等による制限

売買の目的物に地上権、地役権、質権などの使用用益に関する権利が設定されている場合です。

こういった物件では、買主が自由に使用することができません。

この場合、善意の買主は、契約の解除、損害賠償請求をすることができます。この権利行使はその事実を知った時から1年以内に行わなければなりません。

悪意の買主は売主に責任の追及をすることができません。

 

抵当権の実行により所有権を失った場合

抵当権とは、土地や建物を担保として、債務者が返済しない場合に競売かけ、優先的に弁済を受ける権利のことです。詳しくは抵当権で。

この場合、善意、悪意にかかわわず、契約の解除、損害賠償請求をすることができます。

悪意であっても契約の解除、損害賠償請求をすることができるのは、売主は債権を弁済すれば抵当権が消滅します。そのことを信じて買った買主なので保護する必要があるのです。

 

また、買主が第三者弁済をして、抵当権を消滅させた場合でも、その費用の償還請求、損害賠償請求をすることができます。

 

瑕疵担保責任

瑕疵とは、キズ、欠点などのことです。売主の売った物に隠れた瑕疵があった場合です。たとえば売買の目的物である建物が雨漏りをするような欠陥品であった場合です。

隠れた瑕疵とは、通常注意していても発見できないような瑕疵のことをいいます。

買主が善意無過失の場合は契約の解除、損害賠償請求をすることができます。この権利行使は瑕疵を発見した時から1年以内に行わなければなりません。契約の解除は、その瑕疵のため契約の目的を達成できなかった場合に限ります。

悪意または善意有過失の買主は、売主に責任の追及をすることができません。

善意有過失とは、不注意で知らなかったという場合です。知らないのですから善意なのですが過失があって知ることができなかった、こういった場合は、善意有過失です。

 

 

 
状況 買主 解除 損害賠償 代金減額 期間制限
全部他人物 善意 × なし
悪意 × ×
一部他人物 善意 知ってから1年
悪意 × × 契約締結時から1年
数量不足 善意 知ってから1年
悪意 × × ×
用益権等による制限 善意 × 知ってから1年
悪意 × × ×
抵当権の実行により所有権を失った場合 善意 × なし
悪意 ×
瑕疵担保責任 善意無過失 × 知ってから1年
悪意・善意有過失 × × ×

 

 

担保責任を負わない旨の特約

担保責任を負わない旨の特約は有効ですが、以下の場合については例外です。(責任を免れることができない)

  1. 知りながら告げなかった事実
  2. 自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利

 

(担保責任を負わない旨の特約)
第572条  売主は、第五百六十条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。

 

敷地賃借権付き建物の売買における敷地の欠陥と売買目的物の隠れた瑕疵

たとえば、Bが所有者Cの敷地賃借権の付いた建物をAから購入したところ、その敷地に欠陥がある場合、BはAに売主の担保責任を追及できるでしょうか?

この場合は、BはAに責任追及することができません。瑕疵担保責任を追及する場合は、売買の目的物によるものでなければなりません。敷地に欠損がある場合は、その賃借権の設定をしているCに対して修繕請求をします。(最高裁判例平成3年4月2日

 

 





 

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