不当景品類及び不当表示防止法
- 建士先生
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宅建試験では、不当景品類及び不当表示防止法の問題は、毎年1問出題されます。
出題傾向としては、具体的な例(新築や新商品などの表示)を挙げて、その表示をすることができるかどうか(不当表示にあたるか)が問われます。
また、不当景品類及び不当表示防止法と不動産の表示に関する公正競争規約についての知識が問われます。
この不当景品類及び不当表示防止法問題は、一定の講習を受けることで免除されます。(5点免除)
もくじ
広告表示の開始時期の制限
事業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、宅建業法第33条に規定する許可等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の内容又は取引条件その他取引に関する広告表示をしてはなりません。(宅建業法-広告に関する規制)
特定事項の明示義務
事業者は、一般消費者が通常予期することができない物件の地勢、形質、立地、環境等に関する事項又は取引の相手方に著しく不利な取引条件であって、規則で定める事項については、それぞれその定めるところにより、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で明りょうに表示しなければなりません。
- 都市計画法第7条に規定する市街化調整区域に所在する土地(同法第29条に規定する開発許可を受けているもの及び都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)第36条第1項第3号ロ又はハに該当するものを除く。)については、「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と16ポイント以上の文字で明示すること。
ただし、新聞・雑誌広告における文字の大きさについては、この限りでない。 - 建築基準法第42条に規定する道路に2メートル以上接していない土地については、「再建築不可」又は「建築不可」と明示すること。ただし、同法第43条第1項ただし書の許可を受けることができることとなる場合において、その旨を表示するときは、この限りでない。
- 建築基準法第40条の規定に基づく地方公共団体の条例により附加された敷地の形態に対する制限に適合しない土地については、「再建築不可」又は「建築不可」と明示すること。
- 路地状部分のみで道路に接する土地であって、その路地状部分の面積が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占めるときは、路地状部分を含む旨及び路地状部分の割合又は面積を明示すること。
- 建築基準法第42条第2項の規定により道路とみなされる部分(セットバックを要する部分)を含む土地については、その旨を表示し、セットバックを要する部分の面積がおおむね10パーセント以上である場合は、併せてその面積を明示すること。
- 土地取引において、当該土地上に古家、廃屋等が存在するときは、その旨を明示すること。
- 沼沢地、湿原又は泥炭地等については、その旨を明示すること。
- 土地の全部又は一部が高圧電線路下にあるときは、その旨及びそのおおむねの面積を表示すること。この場合において、建物その他の工作物の建築が禁止されているときは、併せてその旨を明示すること。
- 地下鉄の線路を敷設する場合等において、土地の全部又は一部の地下の範囲を定めた地上権が設定されているときは、その旨を表示すること。この場合において、地上権の行使のために土地の利用に制限が加えられているときは、併せてその旨を明示すること。
- 傾斜地を含む土地であって、傾斜地の割合が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占める場合(マンション及び別荘地等を除く。)は、傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合又は面積を明示すること。ただし、傾斜地の割合が30パーセント以上を占めるか否かにかかわらず、傾斜地を含むことにより、当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合(マンションを除く。)は、その旨及び傾斜地の割合又は面積を明示すること。
- 土地の有効な利用が阻害される著しい不整形画地及び区画の地盤面が2段以上に分かれている等の著しく特異な地勢の土地については、その旨を明示すること。
- 土地が擁壁によっておおわれないがけの上又はがけの下にあるときは、その旨を明示すること。
- 道路法(昭和27年法律第170号)第18条第1項の規定により道路区域が決定され、又は都市計画法第20条第1項の告示が行われた都市計画道路等の区域に係る土地についてはその旨を明示すること。
- 建築工事に着手した後に、同工事を相当の期間にわたり中断していた新築住宅又は新築分譲マンションについては、建築工事に着手した時期及び中断していた期間を明示すること。
- 建築条件付土地の取引については、当該取引の対象が土地である旨並びに当該条件の内容及び当該条件が成就しなかったときの措置の内容を明示して表示すること。
- 国土利用計画法(昭和49年法律第92号)による許可又は事前届出を必要とする場合は、その旨を明示して表示すること。
特定用語の使用基準
特定用語の使用基準 | |
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新築 | 建築後1年未満であって、居住の用に供されたことがないものをいう。 |
新発売 | 新たに造成された宅地又は新築の住宅(造成工事又は建築工事完了前のものを含む。)について、一般消費者に対し、初めて購入の申込みの勧誘を行うこと(一団の宅地又は建物を数期に区分して販売する場合は、期ごとの勧誘)をいい、その申込みを受けるに際して一定の期間を設ける場合においては、その期間内における勧誘をいう。 |
ダイニング・キッチン(DK) | 台所と食堂の機能が1室に併存している部屋をいい、住宅(マンションにあっては、住戸。次号において同じ。)の居室(寝室)数に応じ、その用途に従って使用するために必要な広さ、形状及び機能を有するものをいう。 |
リビング・ダイニング・キッチン(LDK) | 居間と台所と食堂の機能が1室に併存する部屋をいい、住宅の居室(寝室)数に応じ、その用途に従って使用するために必要な広さ、形状及び機能を有するものをいう。 |
宅地の造成工事の完了 | 宅地上に建物を直ちに建築することができる状態に至ったことをいい、当該工事の完了に際し、都市計画法(昭和43年法律第100号)その他の法令による工事の完了の検査を受けることが必要とされるときは、その検査に合格したことをいう。 |
建物の建築工事の完了 | 建物をその用途に従い直ちに使用することができる状態に至ったことをいう。 |
事業者は、次に掲げる用語を用いて表示するときは、それぞれ当該表示内容を裏付ける合理的な根拠を示す資料を現に有している場合を除き、当該用語を使用してはならない。
- 物件の形質その他の内容又は役務の内容について、「完全」、「完ぺき」、「絶対」、「万全」等、全く欠けるところがないこと又は全く手落ちがないことを意味する用語
- 物件の形質その他の内容、価格その他の取引条件又は事業者の属性に関する事項について、「日本一」、「日本初」、「業界一」、「超」、「当社だけ」、「他に類を見ない」、「抜群」等、競争事業者の供給するもの又は競争事業者よりも優位に立つことを意味する用語
- 物件について、「特選」、「厳選」等、一定の基準により選別されたことを意味する用語
- 物件の形質その他の内容又は価格その他の取引条件に関する事項について、「最高」、「最高級」、「極」、「特級」等、最上級を意味する用語
- 物件の価格又は賃料等について、「買得」、「掘出」、「土地値」、「格安」、「投売り」、「破格」、「特安」、「激安」、「バーゲンセール」、「安値」等、著しく安いという印象を与える用語
- 物件について、「完売」等著しく人気が高く、売行きがよいという印象を与える用語
物件の名称の使用基準
物件の名称として地名等を用いる場合において、当該物件が所在する市区町村内の町若しくは字の名称又は地理上の名称を用いる場合を除いては、次の各号に定めるところによるものとする。
- 当該物件の所在地において、慣例として用いられている地名又は歴史上の地名がある場合は、当該地名を用いることができる。
- 当該物件の最寄りの駅、停留場又は停留所の名称を用いることができる。
- 当該物件が公園、庭園、旧跡その他の施設から直線距離で300メートル以内に所在している場合は、これらの施設の名称を用いることができる。
- 当該物件の面する街道その他の道路の名称(坂名を含む。)を用いることができる。
不当な二重価格表示
事業者は、物件の価格、賃料又は役務の対価について、二重価格表示(実際に販売する価格(以下「実売価格」という。)にこれよりも高い価格(以下「比較対照価格」という。)を併記する等の方法により、実売価格に比較対照価格を付すことをいう。)をする場合において、事実に相違する広告表示又は実際のもの若しくは競争事業者に係るものよりも有利であると誤認されるおそれのある広告表示をしてはならない。
誤認されるおそれのある二重価格表示
過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示は、次に掲げる要件のすべてに適合し、かつ、実際に、当該期間、当該価格で販売していたことを資料により客観的に明らかにすることができる場合を除き、規約第20条において禁止する不当な二重価格表示に該当するものとする。
- 過去の販売価格の公表時期及び値下げの時期を明示したものであること。
- 比較対照価格に用いる過去の販売価格は、値下げの3か月以上前に公表された価格であって、かつ、値下げ前3か月以上にわたり実際に販売のために公表していた価格であること。
- 値下げの時期から6か月以内に表示するものであること。
ただし、6か月以内であっても災害その他の事情により物件の価値に同一性が認められなくなった場合には、同一性が認められる時点までに限る。 - 土地(現況有姿分譲地を除く。)又は建物(共有制リゾートクラブ会員権を除く。)について行う表示であること。
割引表示
一定の条件に適合する取引の相手方に対し、販売価格、賃料等から一定率又は一定額の割引をする場合において、当該条件を明示して、割引率、割引額又は割引後の額を表示する場合を除き、規約第20条において禁止される不当な二重価格表示に該当するものとする。
おとり広告
以下の場合はおとり広告になるので広告表示をしてはなりません。
- 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示
- 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示
- 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示
不当な比較広告
以下の場合は不当な比較広告になるので広告表示をしてはなりません。
- 実証されていない、又は実証することができない事項を挙げて比較する表示
- 一般消費者の物件等の選択にとって重要でない事項を重要であるかのように強調して比較するもの及び比較する物件等を恣意的に選び出すなど不公正な基準によって比較する表示
- 一般消費者に対する具体的な情報ではなく、単に競争事業者又はその物件等を誹謗し又は中傷する表示
物件の内容・取引条件等に係る表示基準
物件の内容・取引条件等に係る表示基準 | |
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取引態様 | 取引態様は、「売主」、「貸主」、「代理」又は「媒介(仲介)」の別をこれらの用語を用いて表示すること。 |
交通の利便性 |
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各種施設までの距離又は所要時間 |
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面積 |
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物件の形質 |
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写真・絵図 |
宅地又は建物の写真は、取引するものの写真を用いて表示すること。ただし、取引しようとする建物が建築工事の完了前である等その建物の写真を用いることができない事情がある場合においては、次に掲げるものに限り、他の建物の写真を用いることができる。この場合においては、当該写真が他の建物のものである旨を写真に接する位置に明示すること。
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価格・賃料 |
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住宅ローン等 | 住宅ローンの場合は銀行その他の金融機関が行う物件の購入資金及びこれらの購入に付帯して必要とされる費用に係る金銭の貸借については、金融機関の名称、融資限度額等を明示して表示すること。 |