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宅建資格ゲッター 独学テキスト 宅建業法 自ら売主制限‐契約不適合責任の特約の制限

自ら売主制限‐契約不適合責任の特約の制限

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建士先生

宅建業者が自ら売主となり宅建業者でない買主との売買契約において、売買の目的物として引き渡されたものが契約内容に合っていない場合、買主は、売主に対して追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、解除することができます。

民法で契約不適合責任についての規定が定められています。

 

宅建業法 契約不適合担保責任についての特約の制限

宅建業者が自ら売主となり宅建業者でない買主との売買契約において、その目的物の契約不適合責任に関し民法の規定するものより買主に不利な特約をしてはなりません。ただし、期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上とする特約は有効です。また、この規定に反する特約は無効です。

 

(担保責任についての特約の制限)
第四十条 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
2 前項の規定に反する特約は、無効とする。
 

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第五百六十六条 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。

 

民法 売主の契約不適合責任

契約不適合とは、引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないもののことを言います。

民法改正前、瑕疵担保責任では、目的物に隠れた瑕疵があった場合において、売主の帰責事由の有無にかかわらず契約解除でき、解除ができない場合には損害賠償請求ができるとされていました。

民法改正ににより、この瑕疵担保責任に関して制度が契約不適合担保責任として定められました。

契約不適合責任に関しては、あくまで、債務不履行責任として、特別に損害賠償請求や解除の規定があるわけではなく、一般的な民法の規定に則り、損害賠償請求権や解除をすることができます。ただ、特別に買主は売主に対して、追完請求権、代金減額請求権について定められました。

 

それでは、民法改正前の瑕疵担保責任と改正後の契約不適合責任の違いを見てみましょう。

 

  改正前民法の瑕疵担保責任 改正民法の契約不適合責任
責任の法的性質 法廷責任 債務不履行責任
責任対象 隠れた瑕疵
善意無過失である必要がある
種類・品質・数量について契約内容に適合しない
不適合について善意無過失は不要
追完請求権 なし 目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。
代金減額請求権 なし 不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる
ただし、追完請求権が優先
損害賠償請求権 契約解除が不可の場合のみ可能
帰責事由は不要
悪意の買主(瑕疵について知っていた場合の買主)は責任追及できない。
債務不履行による損害賠償が可能
帰責事由が必要
契約解除 契約をした目的を達成できない時 債務不履行が軽微であるときを除き解除できる
担保責任の期間の制限 買主が事実を知った時から1年以内に契約解除又は損害賠償請求することが必要
引渡しの時から10年(消滅時効)
買主が不適合を知った時から1年以内に不適合を売主に通知することが必要

 

 

契約不適合による買主の権利

引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない場合に売主に対し追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除することができるようになりました。

それぞれに関してどんな権利なのか見ていきましょう。

 

追完請求

目的物について、種類、品質、数量に不適合があった場合に、買主は売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができます。

例えば、建物に雨漏りがあった場合、雨漏りの修補を請求することができます。また、修補の他に不足分の引き渡しに関しても追完請求をすることができます。

ただし、その不適合が買主によるもの(買主の帰責事由がある場合)には履行の追完請求はできません。

 

代金減額請求

買主は、追完請求を相当な期間履行を催告しその期間に履行がない時にその不適合に応じて代金減額請求をすることができます。

代金減額請求は追完請求をした後というのがポイントです。

ただし、その不適合が買主によるもの(買主の帰責事由がある場合)には履行の代金減額請求はできません。

 

損害賠償請求

目的物について、種類、品質、数量に不適合があった場合、追完請求や代金減額請求だけでなく、債務不履行による損害賠償請求をすることができます。

損害賠償請求について、改正前の瑕疵担保責任の場合は、「瑕疵があることを知ったときから1年以内に請求」する必要がありましたが、契約不適合責任による損害賠償請求に関しては、「その不適合があった時から1年以内に通知」に改正されました。

 

契約解除

買主が追完請求や代金減額請求を行ったにもかかわらず売主が応じない場合や代金減額に納得がいかない場合、買主は契約を解除することができます。

また、目的物が契約の内容と異なり、契約の目的も果たせないときは、追完請求や代金減額請求などの催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができます。この規定は目的を達成できない場合に限り行使される権利です。雨漏りのような修補できる場合には認められていません。

 

(催告によらない解除)
第五百四十二条 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
一 債務の一部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

 

契約不適合責任の具体例

今後m宅建試験では、契約不適合責任について事例を挙げて問うてくると思われます。

具体例を挙げ試験対策に役立ててください。

 

抵当権付き売買

目的物に抵当権などが行使され所有権を失う場合などは売主の契約不適合責任となります。

 

瑕疵担保責任

目的物に瑕疵がある場合に関して、売主が善意無過失であっても、契約不適合責任の対象となります。

 

他人物売買

全部他人物売買、一部他人物売買においても契約不適合責任を負います。

 

数量に達しない売買

契約に定められた数量に達していない、数量が少ない場合においても契約不適合責任を負います。

 

 

 

 





 

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