自ら売主制限‐割賦売買・所有権保留
- 建士先生
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宅建業者が売主となる8種類の制限の最後の2つです。
割賦売買の契約の解除等による制限と所有権保留等の制限についてです。
宅建試験でも出題頻度は少ないものの、難しくない項目ですので出題されたら確実に点数を取れるようにしておきましょう。
割賦販売の契約の解除等の制限
割賦(かっぷ)売買とは、分割払いのことです。
宅建業者が割賦売買を行う場合において解除に関し制限を設けています。
宅建業者との間で割賦売買の契約をした買主が支払いが遅れたり履行されなかった場合、宅建業者はすぐに売買契約の解除をすることを禁止しています。たとえば、買主が支払いが1週間遅れたとします。本来ならば、買主には支払い義務があるので、たとえそれが1週間遅れたとしても履行遅滞になり債務不履行で売主は契約の解除をすることができます。しかし、それでは買主にとっては死活問題です。
そこで、宅建業者が自ら売主となり宅建業者でない買主との間で割賦売買の契約を締結した場合で、の支払の義務が履行されない場合、30日以上の相当の期間を定めて、その支払いを書面で催告し、その期間内に賦払い金の支払いがないときでなければ、賦払金の支払の遅滞を理由とする契約の解除又は一括で支払うことの請求をすることができないことになっています。
また、この規定に反する特約で買主に不利なものは無効になります。
たとえば、30日以上なのに、20日間とした場合とか、口頭で催告して解除できるとかの特約をしても無効です。
所有権留保等の禁止
通常は、売買契約を締結すると所有権は売主から買主に移転します。所有権の保留とは、所有権の移転を行わないで買主が所有権をそのままにしておくことです。
宅建業者が自ら売主として宅建業者でない買主と宅地建物の割賦売買を行った場合には宅地建物を引き渡すまでに、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければなりません。
例外として、
- 宅建業者が受け取った代金の10分の3(30%、3割)以下の場合
- 10分の3を超えて代金を受け取っていたとしても、残代金について買主が担保するために抵当権、先取特権の設定登記または保証人を立てる見込みがない場合
では、所有権の保留が認められています。