監督処分‐宅地建物取引士
- 建士先生
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監督処分は宅建業者に対してだけではなく宅地建物取引士に対してもあります。宅建業者に対するものと比較して覚えるとよいと思います。
もくじ
監督処分の種類と処分権者
宅地建物取引士に対する監督処分には、指示処分、事務禁止処分、登録消除処分があります。
監督処分の処分権者
指示処分、事務禁止処分は登録を受けた都道府県知事のほかに、宅地建物取引士が処分対象行為を行った都道府県知事が行うことができます。登録消除処分は登録を受けた都道府県知事以外はすることができません。
宅地建物取引士 監督処分の処分権者 | |||
---|---|---|---|
登録をした都道府県知事 | 処分対象行為を行った都道府県の都道府県知事 | 国土交通大臣 | |
指示処分 | ○ | ○ | × |
事務禁止処分 | ○ |
○ |
× |
登録消除処分 | ○ | × | × |
宅建業者の場合には国土交通大臣が監督処分をする場面も出てきましたが、宅地建物取引士の場合には国土交通大臣は監督処分をしません。ただし、国土交通大臣は宅地建物取引士の事務の適正な遂行を確保するため必要があると認めるとき、その事務に対しての報告を求めることがでます。
指示処分
都道府県知事又は処分対象行為を行った都道府県の都道府県知事は、その登録を受けている宅地建物取引士が次の場合に、宅建士に対して必要な指示をすることができます。「しなければならない」ではないことに注意しましょう。
- 宅建業者に自己が専任の宅地建物取引士として従事している事務所以外の事務所の専任の宅地建物取引士である旨の表示をすることを許し、当該宅建業者がその旨の表示をしたとき
- 他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して宅地建物取引士である旨の表示をしたとき
- 宅地建物取引士として行う事務に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき
事務禁止処分
都道府県知事又は処分対象行為を行った都道府県の都道府県知事は、その登録を受けている宅地建物取引士が次の場合に、宅地建物取引士に対して1年以内の期間を定めて、宅建士としての事務を行うことを禁止することができます。
- 宅建業者に自己が専任の宅地建物取引士として従事している事務所以外の事務所の専任の宅地建物取引士である旨の表示をすることを許し、当該宅建業者がその旨の表示をしたとき
- 他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して宅地建物取引士である旨の表示をしたとき
- 宅地建物取引士として行う事務に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき
- 指示処分に従わなかったとき
1から3は指示処分と同じです。
登録消除処分
登録消除処分は、都道府県知事の宅地建物取引士登録(宅地建物取引士資格者)に対しても行われます。
また、宅建業者では、必要的免許取消処分と任意的免許取消処分がありましたが、宅建士には必要的登録消除処分しかありません。よって、以下の場合には都道府県知事は必ず登録を消除しなければなりません。
宅地建物取引士の場合
- 一定の登録欠格事由に該当することとなったとき
- 不正な手段により登録を受けたとき
- 不正な手段により宅建士証の交付を受けたとき
- 事務禁止処分に該当し情状が特に重いときまたは事務禁止処分に違反したとき
宅地建物取引士資格者の場合
- 一定の登録欠格事由に該当することとなったとき
- 不正な手段により登録を受けたとき
- 事務禁止処分に該当し情状が特に重いとき
一定の登録欠格事由とは
第十八条第一項第一号から第五号の二までの一に該当するに至つたとき
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者
- 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
- ・不正の手段により免許を受けたとき
・業務停止処分事由に該当し情状が特に重いとき
・業務停止処分に違反したとき
上記に該当し免許を取り消され、その取消し日から5年を経過しない者 - ・不正の手段により免許を受けたとき
・業務停止処分事由に該当し情状が特に重いとき
・業務停止処分に違反したとき
上記に該当するとして免許取消処分の聴聞の期日及び場所の公示の日からその処分をする日またはその処分をしないことを決定する日までの間に解散(合併、破産は除く)、廃業(解散、廃業について相当な理由がある者は除く)の届出があったもので、その届出の日から5年を経過しない者 - 前の4の期間内に合併により消滅した法人または解散、廃業の届出があった法人(相当な理由がある法人を除く)の聴聞の期日及び場所の公示の日前60日以内にその法人の役員であった者で、その消滅または届出の日から5年を経過しない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- ・宅地建物取引業に違反
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に違反
・刑法(傷害罪、障害現場助勢罪、暴行罪、凶器準備集合罪、脅迫罪、背任罪)の罪を犯した
・暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯した
上記に該当することにより罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
監督処分の手続き
宅地建物取引士に対して監督処分をする場合には、公開による聴聞を行わなければなりません。
宅建業者に対してはその旨の公告をするしなければなりませんでしたが、宅地建物取引士に対しては公告は必要ありません。
また、処分対象行為を行った都道府県の都道府県知事が監督処分をした場合には、その宅地建物取引士の登録をしている都道府県知事に通知しなければなりません。
報告の要求
国土交通大臣はすべての宅地建物取引士に対して都道府県知事はその登録を受けている宅地建物取引士及びその都道府県の区域内で事務を行う宅地建物取引士に対して、宅地建物取引士の事務の適正な遂行を確保するため必要があると認めるときは、その事務について必要な報告を求めることができます。