民法‐不法行為
- 建士先生
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不法行為の宅建試験の問題はそんなに難しくなく範囲も広くありません。宅建資格ゲッターでは、民法は捨てるというスタンスですので勉強しなくてもよいですが、キーワードだけチェックしておくのもよいかもしれません。
もくじ
不法行為
不法行為とは、何の権限もなく他人に損害を与えたり権利(自由や名誉、財産権)を侵害したりすることをいいます。
不法行為が成立するためには、原則として、加害者に故意または過失がある必要があります。
使用者等の責任
たとえば、宅建業者Aの従業員Bが買主に対して損害を与えたとします。こういった場合では、従業者Bはもちろん、その使用者である宅建業者Aに対してもその不法行為の責任追及をすることができます。このことを使用者責任といいます。
使用者責任 概要 | |
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成立の要件 |
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例外 |
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求償権 |
使用者又は監督者から被用者に対する求償権あり |
(使用者等の責任)
第715条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
土地の工作物等の占有者及び所有者の責任
家屋を囲う塀が倒れて、駐車していた車を破損させた場合などです。こういった場合には、誰が責任を負うのでしょうか。
たとえば、所有者Aの建物をBに賃借していました。建物には敷地を囲う塀があります。あるときその塀が倒れて、脇に駐車していた車を破損させてしまいました。
この場合に責任を負うのは、まず、占有者(賃借人B)に損害賠償請求をすることができます。ただし、Bが必要な注意をしていた場合には、次に所有者Aが損害賠償責任を負います。所有者は必要な注意をしていたとしても責任を負わなければなりません。(無過失責任)
注文者の責任
注文者と請負人の場合です。たとえば、注文者Aが塀の設置工事を請負人Cに依頼しました。塀の完成後、請負人Cの塀の設置工事に過失があり、塀が倒れて脇に駐車していた車を破損させてしまいました。
この場合、原則として、注文者Aは不法行為の損害賠償責任を負いません。ただし、注文者の行った注文または指示に過失があることが原因の場合には責任を負うことになります。
共同不法行為者の責任
数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負います。
損害賠償請求権に関する胎児の権利能力
胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなされます。
通常は、人が権利を得ることができるのは出生した時からです。ただし、不法行為について、出生前の胎児にも損害賠償請求権を認めています。
不法行為による損害賠償請求権の履行遅滞・時効消滅
損害賠償請求権は、不法行為が行われ損害が発生した瞬間から履行遅滞になります。
履行遅滞になるということは、遅延利息も発生するということです。
時効消滅に関して、普通の債権の場合は消滅期間は10年ですが、不法行為の損害賠償請求権については、次のようになっています。
- 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間
- 不法行為の時から20年を経過したとき
損害賠償の方法及び過失相殺
被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができます。