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農地法

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建士先生

宅建試験では、農地法から必ず1問出題されています。農地法では、農地法第3条、第4条、第5条による許可に関する問題が出題されます。要点をしっかり理解することが大切です。

 

農地法とは

国内の農場生産の基盤となる農地は、限られた資源です。

そのため、農地を農地以外にしたり、農地の所有者(耕作者)が変更されることで、農地を効率よく利用できなくなることを規制しています。

農地法では、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的としています。

 

農地と採草放牧地

農地法では、農地と採草放牧地の取引などを規制しています。それでは農地と採草放牧地とはどんな土地のことでしょう。

 

農地とは、耕作の目的に供される土地のことです。田んぼや畑といった主に耕作のための土地をいいます。

採草放牧地とは、農地以外の土地で、主に家畜用の牧草や、家畜の放牧のための土地をいいます。

 

取引される土地について、登記簿上の地目は関係ありません。現況が農地または採草放牧地であれば規制の対象になります。つまり、登記簿には山林である土地であっても現在、農地として使用している土地について、取引をする場合には農地法が適用されるということです。

 

ことばの説明 地目

地目とは、不動産登記法上の土地の用途による分類のことで、その用途により23種類に分類されています。

不動産登記規則第99条

(地目)
第九十九条  地目は、土地の主な用途により、田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園及び雑種地に区分して定めるものとする。

 

 

農地法第3条 農地又は採草放牧地の権利移動の制限

農地または採草放牧地について所有権を移転したり、借地権等の権利の設定をする場合には、原則として、農業委員会の許可が必要です。農地に対して抵当権を設定する場合には、許可は不要です。あくまで、現状の耕作者が変更になる場合について制限するものです。(競売により農地を取得する場合も含まれます)

 

農業委員会の許可が不要な場合

  1. 権利を取得する者が国又は都道府県である場合(市町村等は含まない)
  2. 民事調停法の農事調停によって権利が設定され、又は移転される場合
  3. 土地収用法によって権利が収用され、又は使用される場合
  4. 相続、遺産分割、財産の分与などの場合(ただし、農業委員会に届出が必要

 

農地法第4条 農地の転用の制限

農地を農地以外のものに転用する場合は、原則として、都道府県知事の許可4haを超える場合は農林水産大臣の許可)が必要です。採草放牧地については許可が不要というところに注意しましょう。

たとえば、農業者が住宅を建築する目的で農地を宅地に転用する場合などです。このように農地を転用する場合には、農地法第4条によりあらかじめ都道府県知事の許可が必要です。

この許可は一時的に農地以外に転用する場合も含まれます

 

国又は都道府県が農地を農地以外のものにしようとする場合においては、国又は都道府県と都道府県知事との協議(4haを超える農地を農地以外のものにする場合には、農林水産大臣との協議)が成立することで許可があったものとみなされます。

 

都道府県知事の許可が不要な場合

  1. 国又は都道府県が、道路、農業用用排水施設その他の地域振興上又は農業振興上の必要性が高いと認められる施設にするために、農地を農地以外のものにする場合
  2. 土地収用法によって権利が収用され、又は使用され農地を転用する場合
  3. 市街化区域内にある農地を、あらかじめ農業委員会に届け出て、農地以外のものにする場合
  4. 耕作の事業を行う者がその農地を農業用施設に供する場合(2アール未満(200㎡)のものに限る)
  5. 地方公共団体(都道府県を除く。)がその設置する道路、河川、堤防、水路若しくはため池などの敷地に供するためその区域内にある農地を農地以外のものにする場合

 

農地法第5条 農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限

農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のものに転用するため、これらの土地について所有権を移転したり、借地権等の権利の設定をする場合には、原則として、都道府県知事の許可4haを超える場合は農林水産大臣の許可)が必要です。

たとえば、農業者から土地を買い取って、分譲するような場合です。農地を農地以外のものに転用するために権利の移転をする場合には、農地法第5条が適用されます。(競売により農地を取得する場合も含まれます)

 

農林水産大臣の許可の場合

4haを超える場合は農林水産大臣の許可が必要です。この場合は農地の面積で判断します。

たとえば、農地3haと採草放牧地5haの場合、合計では8haで4haを超えていますが、農地の部分は4haを超えていないので、都道府県知事の許可になります。

また、農地5haと採草放牧地3haの場合、農地の部分が4haを超えているので農林水産大臣の許可を受けることになります。

 

都道府県知事の許可が不要な場合

  1. 国又は都道府県が、道路、農業用用排水施設その他の地域振興上又は農業振興上の必要性が高いと認められる施設にするために、農地を農地以外のものにする場合
  2. 土地収用法によって権利が収用され、又は使用され農地を転用する場合
  3. 市街化区域内にある農地を、あらかじめ農業委員会に届け出て、農地以外のものにする場合
  4. 地方公共団体(都道府県を除く。)がその設置する道路、河川、堤防、水路若しくはため池などの敷地に供するためその区域内にある農地を農地以外のものにする場合

 

許可を受けなかった場合の行為の効力と罰則

農地法の適用による許可が必要な場合の行為について許可を受けずに行った権利移転は、その行為は効力を生じません。また、転用がなされている場合においても、工事の停止処分や原状回復義務などがあり違反是正措置をとるべきことを命ずることができます。また、罰則の適用もあります。

 

農地法のまとめ

農地法のまとめ 許可
  農地法第3条 農地法第4条 農地法第5条
対象

農地→農地
採草放牧地→農地
採草放牧地→採草放牧地

農地→農地以外

農地→農地以外
採草放牧地→農地以外
採草放牧地→採草放牧地以外

許可

農業委員会の許可

都道府県知事の許可
4haを超える場合は農林水産大臣の許可

許可不要の例外 共通例外 土地収用法によって権利が収用され、又は使用され農地を転用する場合
その他例外
  1. 権利を取得する者が国又は都道府県である場合(市町村等は含まない)
  2. 民事調停法の農事調停によって権利が設定され、又は移転される場合
  3. 相続、遺産分割、財産の分与などの場合(ただし、農業委員会に届出が必要

耕作の事業を行う者がその農地を農業用施設に供する場合(2アール未満(200㎡)のものに限る)

 
  1. 国又は都道府県が、道路、農業用排水施設その他の地域振興上又は農業振興上の必要性が高いと認められる施設にするために、農地を農地以外のものにする場合
  2. 市街化区域内にある農地を、あらかじめ農業委員会に届け出て、農地以外のものにする場合
  3. 地方公共団体(都道府県を除く。)がその設置する道路、河川、堤防、水路若しくはため池などの敷地に供するためその区域内にある農地を農地以外のものにする場合

許可を受けなかった場合

効力 効力を生じない   効力を生じない
是正措置   工事停止処分や原状回復義務を負う
罰則

3年以下の懲役又は300万円以下の罰金

 

3年以下の懲役又は300万円以下の罰金
法人 300万円以下の罰金 1億円以下の罰金刑

 

 





 

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