宅建業免許
- 建士先生
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免許を申請すればだれでも免許が受けられるわけではありません。
宅建業者としてふさわしいかを判断するために一定の基準を設けています。
もくじ
免許の基準
国土交通大臣又は都道府県知事は、免許を受けようとする者が、免許申請書やその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、重要な事実の記載が欠けている場合においては、免許をしてはなりません。また次の挙げるものは宅建業免許を受けることができません。
- 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
- ・不正の手段により免許を受けたとき
・業務停止処分事由に該当し情状が特に重いとき
・業務停止処分に違反したとき
上記に該当し免許を取り消され、その取消し日から5年を経過しない者(免許を取り消されたものが法人である場合においては、その取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前60日以内にその法人の役員であった者でその取消しの日から5年を経過しない者) - ・不正の手段により免許を受けたとき
・業務停止処分事由に該当し情状が特に重いとき
・業務停止処分に違反したとき
上記に該当するとして免許取消処分の聴聞の期日及び場所の公示の日からその処分をする日またはその処分をしないことを決定する日までの間に解散(合併、破産は除く)、廃業(解散、廃業について相当な理由がある者は除く)の届出があったもので、その届出の日から5年を経過しない者 - 前の3の期間内に合併により消滅した法人または解散、廃業の届出があった法人(相当な理由がある法人を除く)の聴聞の期日及び場所の公示の日前60日以内にその法人の役員であった者で、その消滅または届出の日から5年を経過しない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- ・宅地建物取引業に違反
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に違反
・刑法(傷害罪、障害現場助勢罪、暴行罪、凶器準備集合罪、脅迫罪、背任罪)の罪を犯した
・暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯した
上記に該当することにより罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 - 免許の申請前5年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をした者
- 宅地建物取引業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が1から8までのいずれかに該当する者
- 法人でその役員または政令で定める使用人が1から8までのいずれかに該当する者
- 個人で政令で定める使用人が1から8までのいずれかに該当する者
- 事務所について、従業者5人以上に1人以上の専任の宅地建物取引士を置いていない者
免許の基準は毎年必ず出題される重要な知識です。
ちょっと面倒くさいですが、しっかり理解し確実に得点できるようにしておきましょう。
それでは重要な項目を押さえておきます。
重要な項目(出題頻度が高い項目)
宅建業法違反、暴力団対策法違反、暴力的犯罪
これらに関する法律の罪を犯して罰金刑に処せられたときは、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者は免許を受けることができません。
重要なのは、宅建業法違反の罰金刑であっても受けられないということです。
その他は、暴力的な犯罪です。ここでは背任罪が含まれていることを覚えておきましょう。(よく出題されます)
刑法第247条
(背任)
第二百四十七条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
背任について知識を問われることはありませんが、一応知識として刑法の背任について記載しています。
禁錮以上の刑に処せられ者
前に記述した罪を犯した者で罰金刑に処せられ者以外でも、禁錮以上の刑に処せられた場合は、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しないと免許を受けることができません。
たとえば、詐欺罪で処罰された者であっても、罰金刑であれば、免許を受けることができるのに対し、詐欺罪で禁錮刑以上に処せられた場合は5年を経過しないと免許を受けることができません。
宅建業法違反、暴力団対策法違反、暴力的犯罪に当たるのか、それともそれ以外なのか見極めて問題を解きましょう。
刑の種類
懲役→禁錮→罰金→拘留→科料の順に軽くなっていきます。
執行猶予付きの刑の場合
執行猶予とは、犯罪を犯して判決で刑を言い渡された者が、刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過したときは、その刑の言渡しは効力がなくなるというものです。
そのため、執行猶予期間中は免許の申請をしても拒否されますが、執行猶予期間が満了すれば、刑の言渡しの効力がなくなるため、5年を待たずに、直ちに免許を受けることができます。
よく出題される知識ですのでしっかり理解しておきましょう。
免許取消処分を受けた者
不正な手段で免許取得、業務停止処分事由に該当し情状が特に重い、業務停止処分に違反のいづれかの理由で免許取消処分を受けた場合には、その取消しの日から5年を経過しない者は免許を受けることができません。
また免許取消処分を受けた者が法人の場合はその役員についても審査されるということです。
悪いことをして取消しされた法人の役員はまた悪いことをするかもしれませんからね。
また、取り消し処分が決まっているにも関わらす、その前に廃業や解散をしたときも同様に考えます。
処分を逃れるために解散や廃業をするような者は、また同じような悪いことをするかもしれませんし、その役員に関しても同様です。
なので、60日以内に役員であった者についても免許を受けることができないということです。(政令で定める使用人が含まれない)
10、11は法人としてまたは個人として免許を受けようとしている者が欠格事由にが該当しないとしても、その法人の役員や政令で定める使用人、個人である場合も同様に政令で定める使用人が欠格事由に該当する場合は免許を受けることができないということです。
ことばの解説 政令で定める使用人
継続的に業務を行なうことができる施設を有する場所(事務所等のこと)で、宅地建物取引業に係る契約を締結する権限を有する使用人のことです。(宅地建物取引業法施行令第1条の2第2項)
未成年者について
宅建業免許は、未成年者だからという理由だけで免許を拒否されることはありません。
9について、たとえば、営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者が免許を受けた場合には、取引に関し、その法定代理人の同意が必要になってきます。よって、その法定代理人が悪い奴だったりするととても危険ですよね。そのため、法定代理人について欠格事由に該当しないかの審査が行われるのです。
法定代理人から宅建業に関し営業の許可を受けている未成年者のことを、「営業に関し成年者と同一の行為能力を有する未成年者」といい、「営業に関し成年者と同一の行為能力を有する未成年者」は宅建業に関し単独で契約などの取引ができます。よって「営業に関し成年者と同一の行為能力を有する未成年者」に関しては法定代理人は取引に関与しないので、欠格事由に該当するかの審査は行われません。
また、未成年者であっても婚姻していれば成年者とみなされます。
成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
これらの者は宅建業免許を受けることができません。当然と言えば当然ですよね。
ここでは、制限行為能力者であっても被補助人が含まれていないことに注意しましょう。
成年被後見人、被保佐人であっても、後見開始の審判、保佐開始の審判が取り消された時、また、破産者であっても復権を得れば、直ちに免許を受けることができます。直ちにですよ、「5年が経過しなければ免許を受けることができない」みたいなひっかけ問題には注意しましょう。
さて、次のページでは、宅建業免許についてのその他の知識についてご説明していきます。