自ら売主となる場合の制限 8種制限
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- 建士先生
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宅建業者が代理や媒介を行う場合は、報酬の額に一定の制限がります。宅建業者が自ら売主となる場合に、知識がない買主が不利な契約をさせられる可能性が出てきます。そのため、宅建業法では、宅建業者が自ら売主となる場合に消費者の保護の観点から8種類の制限を設けています。
自ら売主となる場合の制限
宅建業者が自ら売主となる場合の制限には、8種類の制限が設けられているため、8種制限とも呼ばれています。
8種類の制限には、以下に挙げるものをいいます。
- 事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等(クーリング・オフ制度)
- 損害賠償額の予定等の制限
- 手付額の制限
- 手付金等保全措置
- 契約不適合責任の特約
- 自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限
- 還付売買契約の解除等の制限
- 所有権保留等の禁止
自ら売主となる場合の制限が適用される場合
まず、宅建業者が自ら売主となる場合に適用されるのはわかりますよね。そして、自ら売主となる場合の制限は、相手方が宅建業者の場合は適用されません。
要するに、宅建業者が自ら売主となる場合において宅建業者でない買主と宅地建物の売買契約を締結する場合に適用されます。
宅建試験では、問題文に「自ら売主」「宅建業者でない買主」「宅建業者である買主」などと言葉を使ってひっかけ問題を出題してきます。
【問 40】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として買主との間で締結する売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「保全措置」とは、法第41条に規定する手付金等の保全措置をいうものとする。
- Aは、宅地建物取引業者でない買主Bとの間で建築工事完了前の建物を4,000万円で売却する契約を締結し300万円の手付金を受領する場合、銀行等による連帯保証、保険事業者による保証保険又は指定保管機関による保管により保全措置を講じなければならない。
- Aは、宅地建物取引業者Cに販売代理の依頼をし、宅地建物取引業者でない買主Dと建築工事完了前のマンションを3,500万円で売却する契約を締結した。この場合、A又はCのいずれかが保全措置を講ずることにより、Aは、代金の額の5%を超える手付金を受領することができる。
- Aは、宅地建物取引業者である買主Eとの間で建築工事完了前の建物を5,000万円で売却する契約を締結した場合、保全措置を講じずに、当該建物の引渡前に500万円を手付金として受領することができる。
- Aは、宅地建物取引業者でない買主Fと建築工事完了前のマンションを4,000万円で売却する契約を締結する際、100万円の手付金を受領し、さらに200万円の中間金を受領する場合であっても、手付金が代金の5%以内であれば保全措置を講ずる必要はない。
平成25年過去問 問40の問題ですが、宅建業者でない買主と宅建業者である買主の場合について問われています。
肢3では宅建業者である買主の場合ですので、自ら売主となる場合の制限は適用されません。
こういったひっかけが出題されますので注意が必要です。