平成20年宅建過去問 問12
- Z 平成20年度宅建過去問
- a 民法
- b
- Bの遺留分を侵害するAの遺言は、その限度で当然に無効である。
- Bが、Aの死亡の前に、A及びCに対して直接、書面で遺留分を放棄する意思表示をしたときは、その意思表示は有効である。
- Aが死亡し、その遺言に基づき甲土地につきAからCに対する所有権移転登記がなされた後でも、Bは遺留分に基づき減殺を請求することができる。
- Bは、遺留分に基づき減殺を請求できる限度において、減殺の請求に代えて、その目的の価額に相当する金銭による弁償を請求することができる。
平成20年宅建過去問 問12の選択肢1の解説
平成20年宅建過去問 問12の選択肢2の解説
遺留分の放棄は、相続開始前か後かによって異なります。
遺留分の放棄は、相続開始前(被相続人の死亡前)の場合、家庭裁判所の許可が必要とされています。なぜなら、被相続人が遺留分権利者に対し圧力をかけて放棄させられる恐れがあるからです。よって誤り。(民法第1043条 )
(遺留分の放棄)
第千四十三条 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
2 共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。
ちなみに、相続開始後(被相続人の死亡後)であれば、家庭裁判所の許可は不要です。
平成20年宅建過去問 問12の選択肢3の解説
所有権移転登記がなされた後でも、遺留分の減殺請求はすることができます。よって正しい。
遺留分減殺請求権は相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったときであれば行使できます。所有権移転登記がされていようが関係ありません。
ただし、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅します。また、相続開始の時から十年を経過したときも、同様に消滅します。(民法第1042条 )
平成20年宅建過去問 問12の選択肢4の解説
遺留分権利者であるBは減殺の請求はできるが、その目的の価額に相当する金銭による弁償を請求することはできません。よって誤り。
受贈者及び受遺者が目的の贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができるとしています。(民法第1041条)
目的の価額に相当する金銭による弁償をするか否かは、受贈者及び受遺者が決めることなのです。
遺留分を侵害する遺言であっても、遺言は法律行為として有効です。よって誤り。
民法では、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。としています。(民法第902条)
遺留分権利者であるBはBの遺留分を遺留分減殺請求権をもって行使すればよいということになります。