平成20年宅建過去問 問1
- Z 平成20年度宅建過去問
- a 民法
- b
【問 1】 行為能力に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。
- 未成年者は、婚姻をしているときであっても、その法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。
- 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者につき、4親等内の親族から補助開始の審判の請求があった場合、家庭裁判所はその事実が認められるときは、本人の同意がないときであっても同審判をすることができる。
- 被保佐人が、保佐人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないでした土地の売却は、被保佐人が行為能力者であることを相手方に信じさせるため詐術を用いたときであっても、取り消すことができる。
平成20年宅建過去問 問1のポイント
平成20年宅建過去問 問1の選択肢1の解説
この本肢で重要なことは、『事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。』のか。また後半の『日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。』についての判断です。先の事理を弁識する能力とは、意識能力または行為能力の有無ついて、有効に意思表示が出来る能力を言います。
本肢には、すでに成年被後見人が行ったと書いてありますので、後見開始の審判 が行われています。
よって、事理弁識能力があったとしても成年被後見人が行った行為は取り消すことが出来ます。(民法第5条 )
次に後半部分についてです。この部分は民法第9条にそのまま書かれています。
以下民法文面
第九条
成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
よって、正しい
平成20年宅建過去問 問1の選択肢2の解説
未成年者とは、民法では20歳未満を未成年といいます。(民法第4条 )
未成年者には法定代理人(親権者または未成年後見人)が付けられます。
未成年者が法律行為をするには、法定代理人の同意を得なければなりません。
ただし、本肢の後半部分である、『単に権利を得、又は義務を免れる法律行為 』は取り消すことが出来ません。(民法第5条 )
また、未成年者は婚姻によって成年者として扱われます。(民法第753条 )よって誤り。
ちなみに、未成年者の営業の許可について民法では、その営業に関してのみ成年者と同一の行為能力があると書かれています。(民法第6条 )
平成20年宅建過去問 問1の選択肢3の解説
補助開始の審判の請求は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官が請求請求できることになっています。(民法第15条 )
ただし、民法第7条 の後見開始の審判または、民法第11条 の保佐開始の審判に規定する原因がある場合はその限りではありません。
本肢では、補助開始の審判には本人の同意がないときでも審判ができると書かれてあります。民法第15条2項 により、本人の同意が必要です。よって誤り。
被補助人は成年被後見人や被保佐人とは異なり相当程度の判断能力があるとみなされています。そのため、補助開始の審判では、本人以外の者の請求による場合は、本人の同意が必要とされています。
民法での表現の違い
成年被後見人:精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者
被保佐人:精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者
被補助人:精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者
平成20年宅建過去問 問1の選択肢4の解説
行為能力者であると嘘をついてやった契約は取り消せません。詐術を用いてやった契約まで保護する必要はなく、相手方保護の考えでもあるのです。(民法第21条 )
被保佐人に限らず、制限行為能力者(未成年者、被補助人、成年被後見人)にも適応されます。よって誤り。
ちなみに、自分が制限行為能力者であることを述べなかっただけでは詐術に当たらず、取り消すことが出来ます。
行為能力については複雑な問題も多数出題されていますが、完璧に解答できるように勉強しておきましょう。
この問題は、制限行為能力の問題です。
毎年出題されている問題ですが、今年の問題の大きなポイントは、補助人に関する問題でしょう。