平成20年宅建過去問 問44
【問 44】宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)又はその社員に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 300万円の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付して当該保証協会の社員となった者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、6,000万円を限度として、当該保証協会が供託した弁済業務保証金から弁済を受ける権利を有する。
- 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付に係る社員又は社員であった者に対し、当該還付額に相当する額の還付充当金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託すべきことを通知しなければならない。
- 保証協会の社員は、保証協会から特別弁済業務保証金分担金を納付すべき旨の通知を受けた場合で、その通知を受けた日から1か月以内にその通知された額の特別弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しないときは、当該保証協会の社員の地位を失う。
- 宅地建物取引業者は、保証協会の社員の地位を失ったときは、当該地位を失った日から2週間以内に、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
平成20年宅建過去問 問44の選択肢1の解説
平成20年宅建過去問 問44の選択肢2の解説
保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付に係る社員又は社員であった者に対し、当該還付額に相当する額の還付充当金を宅地建物取引業保証協会に納付すべきことを通知しなければいけません。(宅地建物取引業法 第64条の10第1項 )
本肢では、『主たる事務所の最寄りの供託所に供託すべきことを通知』となています。主たる事務所の最寄の供託所ではなく、保証協会に納付すべき通知をしなければいけません。よって誤り。
ちなみに、保証協会の社員でない宅地建物取引業者は、営業保証金を納付しなければならず、その還付が行われた際に、国土交通大臣又は都道府県知事による通知書の送付を受けた日から2週間以内に主たる事務所の最寄の供託所に不足額を供託しなければなりません。(宅地建物取引業法 第28条 宅地建物取引業法営業保証金規則 第1条・2条・3条・4条 )
平成20年宅建過去問 問44の選択肢3の解説
保証協会の社員は、保証協会から特別弁済業務保証金分担金を納付すべき旨の通知を受けた場合で、その通知を受けた日から1か月以内にその通知された額の特別弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しないときは、当該保証協会の社員の地位を失います。(宅地建物取引業法 第64条の12・第64条の10 )よって正しい。
ちなみに、特別弁済業務保証金分担金とは、弁済業務保証金の還付があった場合、通常、その還付額に相当する還付充当金を該当宅地建物取引業者が納付するようになっています。
しかし、この宅地建物取引業者が還付充当金を還付しなかった場合のために、保証協会では、弁済業務保証金準備金を積み立てるようになっているのですが、それでも、足りない場合、保証協会の社員全員に特別弁済業務保証金分担金を納付するように通知し、そのお金で、還付金の穴埋めをするのです。
この特別弁済業務保証金分担金の通知を受けて一か月以内に納付しなければ、その宅地建物取引業者は保証協会の社員の地位を失うということになります。
平成20年宅建過去問 問44の選択肢4の解説
宅地建物取引業者は、保証協会の社員の地位を失ったときは、当該地位を失った日から1週間以内に、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければいけません。(宅地建物取引業法 第64条の15)よって誤り。
保証協会の社員となった場合、弁済業務保証金分担金の納付は、主たる事務所が60万円、従たる事務所は30万円です。(宅地建物取引業法施行令 第7条 )
本肢では、300万円の弁済業務保証金分担金を納付しているということなので、主たる事務所1つと、従たる事務所いくつか、の納付をしているということになります。
弁済業務保証金からの弁済を受けることができる金額は、営業保証金の額に相当するため、主たる事務所1,000万円、従たる事務所は500万円です。(宅地建物取引業法 第64条の8第1項 宅地建物取引業法施行令 第2条の4 )
従たる事務所がいくつあるのかを求める
まず、300万円から主たる事務所の分の弁済業務保証金分担金を引き、それを従たる事務所の弁済業務保証金分担金で割る。
(300万円-60万円)÷30万円=8
従たる事務所は8ということが分かります。
弁済業務保証金から弁済を受けることができる金額
主たる事務所:1,000万円
従たる事務所:500万円×8=4,000万円
合計で、5,000万円です。
本肢では、『6,000万円を限度として』とありますが、5,000万円を限度として弁済業務保証金から弁済を受けることができるということです。よって誤り。